塩と言えば減塩減塩と叫ばれて久しいですが、本来塩は人間の生命維持に欠かす事のできない
重要な物です。
塩分の摂り過ぎは血圧が上がるのでよくないとか、科学的に作られた塩がよくない
とか言われていますが、本当の所はどうなの?と考えてみると案外塩に関してあまり知らないなぁ
と思い至りました。そこで今回は塩のお話。今回は字ばっかりです。
塩の原材料は主に海水と岩塩です。日本で一般的に作られる塩はイオン交換膜と言う装置で海水
から電気的に純度の高い食塩水を作り、真空式立釜という大きな釜で煮詰め、乾燥させて作ります。
出来上がる塩は、サラサラとしてさっぱりとした味。塩化ナトリウムの純度99.4~99.7%。食塩、食卓
塩として売られています。これに、にがりを加えたものや、輸入天日塩を日本の海水で溶かし先ほど
の製法で作った物もあります。日本で流通する国産の食用塩の99%がこのイオン交換膜で作られて
います。
他には、日本独自の製法である平釜という1.5メートルほどの小さな釜で炊き上げて作る塩がありま
す。しっとりとした塩味の馴染みの良い塩が出来上がります。塩化ナトリウムの純度は88~94%。自
然海塩とよばれて自然食品店などで売られる塩はほとんどこの製法です。平釜製法の中でも、海水
を目の細かいネットに流し天日乾燥して作る海の精、輸入天日塩を海水で溶かして作る伯方のしお
等、さまざまな塩があります。にがりを多く含むため、湿りやすく固まりやすいのが短所です。その短
所を焼く事で改善したのが焼き塩。ミネラル、にがりの含み具合で味もさまざまです。
●何故、塩の摂り過ぎは体に悪いと言われているのか?
塩は人間にとって必須であるミネラルの補給源です。主にナトリウム、カリウム、マグネシウム等
他にも80種類もの微量元素を塩から摂る事ができます。これらのミネラルは筋肉の動き、神経細
胞の活性、たんぱく質の合成、心臓の拍動にも関わる本当に重要な物質です。では、何故摂り過
ぎが良くないのか? どうやら、塩の成分に関係がありそうです。
人の体は、細胞の外のナトリウムと細胞の中のカリウムがバランスを取る事で、水分の調節、筋肉
の収縮、神経伝達、ペーハー調整を行っています。普通ならば塩にも野菜にも、たくさんカリウムが
含まれるので不足することがありません。しかし、一般に流通している加工品、飲食店で使われて
いる塩は100%に近い塩化ナトリウムですので、本来なら余分なナトリウムを体の外に出す役目をす
るカリウムが含まれていません。そして、余分なナトリウムを体の外に出すために、元々あったカリ
ウムも消費してしまい、ナトリウムばかりが多くなってしまいます。
濃くなったナトリウムを薄めようと細胞から水分が抜け出てしまい、血液や細胞の外の水分量が増
えて水圧があがり、血管や臓器を締め付けます。いわゆるむくんだ状態、この時に血圧の上昇や
心臓や腎臓への負担がかかるのです。塩分の摂り過ぎと言うよりも、体の中の塩分のバランスが
崩れている、元をたどれば食べる塩のバランスが崩れている事が体に悪いと言えます。
科学的にみれば、塩の成分の違いは微々たる物です、料理に使うのもちょっとですしね。しかし、
その微々たる中に存在する少しの成分が体のバランスを保っているのです。
塩の摂り過ぎよりも、塩の質、野菜不足に気を付けましょう!と提言したいと思います。